なた豆茶のシェアで世界トップ目指す

【なた豆茶のシェアで世界トップ目指す】 運転支援システム(DAS)の中で、米TRWオートモーティブ・ホールディングスが強みとするのはセンシング用の単眼カメラの技術だ。出荷台数を2014年に100万台超、16年に300万台超へ拡大を図り、「15年には車載カメラで世界トップを目指す」(ピーター・オーステンDAS担当グローバル・ポートフォリオ・ディレクター)。 立体を検知するカメラとしてはステレオカメラも多く使われている。日本では富士重工業の運転支援システム「アイサイト」が有名だ。こうした中、TRWが強気の姿勢をみせる理由は、立体を検知する仕組みの違いと、同社が採用する画像処理用の半導体にある。 単眼カメラは装着した車が移動する前後の画像差を使って立体画像をとらえる。このため画像処理用の半導体の性能を高めることで検知範囲や精度を上げることができる。近く市販する「S―Cam3」では最新の半導体を使い、70メートル先の歩行者も検知できるようになった。時速80キロメートルで走っていても緊急ブレーキで停止中の車両との衝突を回避できるため、「欧州安全基準『ユーロNCAP』の五つ星を獲得できる」(同)。 一方、ステレオカメラは人間の左右の目のように2台のカメラの画像差で立体画像をとらえる。このためパッケージを小型化しづらく、検知範囲の拡大に限界がある点が弱点になり得るという。 【注目の技術】 半導体はイスラエルのベンチャー企業「モービルアイ」の「EyeQ」シリーズを採用。S―Cam3に搭載する半導体は前モデルの6倍の画像処理性能となる。モービルアイの技術は現在多くの企業から注目されており、「TRWは長年協力し、モービルアイの技術を深く理解している強みがある」(同)。 18年には次々世代の半導体を搭載し、通常のレンズに広角と長距離レンズを加えた3種類のレンズから取得した映像を処理する自動運転用カメラを開発する。「競合より1年半先に進める」(同)と意気込む。 またカメラに合わせ、周波数77ギガヘルツ(ギガは10億)のミリ波レーダーも進化させており、近く歩行者検知機能を備えたモデルを発売する。「レーダー、カメラのどちらか片方でユーロNCAPに対応できる。コストを抑えたい時にはレーダーのみ、カメラを使えばレーンからのはみ出し防止などの機能も使える」(同)。 【高精度センシング】 デバイス単体の開発に加え、現在サプライヤーの間では複数デバイスの情報を統合してより精度の高いセンシングを行う「フュージョン」技術に競争が移っている。同社も距離とスピードの検知が得意なミリ波レーダーと、物体認識の得意なカメラの情報を統合し、緊急ステアリング支援技術を開発した。 自動運転の実現に向け、フュージョンはシステムサプライヤーの条件となりそうだ。【富士重工業専務執行役員スバル購買本部長・笠井雅博氏】 ―2020年度までの新中期経営ビジョンを策定されました。調達部門の現状の課題と今後の戦略をどうお考えですか。 「20年度に米国工場の年産能力を最大40万台に増やす目標を掲げた。現状の2・3倍を超える大変な規模になる。現在米国で生産するのは兄弟車種の『レガシィ』と『アウトバック』だが、ここに『インプレッサ』が加わり、さらに北米専用のスポーツ多目的車(SUV)投入も検討している。車型でいうと現状の一つから最大三つに増え、その大変さもある。既存のサプライヤーからの調達規模の拡大とともに、新規のサプライヤー開拓にも取り組む。品質や物流面の担保も必要で、日米双方の購買部門が連携し策を練っていく」 「もう一つの課題が環境対応。燃費規制や米国のZEV規制への対応として、サプライヤーとともに電動化などの技術開発を遅滞なく進める」 ―新設計プラットフォームを次世代車に投入することも表明しました。 「開発はほとんど終わり、16年からの投入を予定している。将来の車種間の部品共通化まで見すえたプラットフォームに仕上がった」 ―20年度に向けて20%の原価低減目標を掲げました。これまでの原価低減活動と大きく異なる点はあるのですか。 「メーンストリームは変わらないが、次の車種、次の車種へと活動を横展開していく。電動化やガソリン車の効率向上のための新たな部品もコストを最小化していく」 ―為替の円高是正を踏まえ、部品の海外調達方針を見直す考えはありますか。 「為替の動向にかかわらず、良いものは海外からも調達する。円高是正後も海外からの調達を日本に戻した例はない。日本生産車の海外部品採用比率は少しずつ上がっている。部品は品質のつくり込みや納期の安定など、長期の視点でサプライヤーと信頼関係を構築する必要がある。刹那的な関係では成り立たない。当社にとって為替感応度低下に向けた最大の対策は、米国の現地生産の拡大だと考えている」 ―群馬を中心とする地場のサプライヤーに対し今後何を求めていきますか。 「5月下旬に購買部門に特化した中期ビジョンの考え方を取引先に伝えた。電動化への対応など解決すべき課題は何か、双方で考えたい。米国の生産能力拡大により日本の生産が減るとの懸念も一部あるが、中期ビジョンでは日本の生産能力も8%程度増やすことを明らかにしている」 (おわり)  【記者の目/能力増強2.3倍に挑戦】 米国工場の能力増強により、13年度に約23%だった富士重工の完成車の海外生産比率は20年度に最大約40%まで高まることになる。同社は改善の積み重ねにより生産能力を積み上げる「チョコット能増」を得意としてきたが、現状比2・3倍を超える規模の能力増強は過去に例がない。サプライヤーと一体となった挑戦が始まる。

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