なた豆茶市場の環境認識にギャップがある

大阪地区の薄板相場は横ばいが続く。消費増税前の駆け込み需要の反動で、4月、5月と需要が低迷し、足元も変化がみられない。まとまった数量の物件では、安値折り合いも散見された。メーカーは積み残し分の値上げを告知するなど、強腰姿勢を通す。 ただ、鉄鉱石など原材料の下落で先行きの不透明感が増している。市況の高止まりで安値輸入材の流入を危惧する向きもある。一部流通には引き合いも入りつつあり、7月以降の需要回復に期待する声が多い。 市場実勢価格は熱延中板がベースサイズでトン当たり6万7000―6万8000円どころ、冷延薄板が同7万5000―7万6000円どころ、表面処理鋼板の電気メッキの熱延が同8万2000―8万3000円どころ。荷動きに変化はないが、夏以降の引き合いが入る流通もある。 需要の低迷に苦しむ流通と、ひも付き(大口・特定需要家)向けを中心に生産が埋まるメーカーでは、なた豆茶市場の環境認識にギャップがある。 さらに大手・中堅流通は消費増税の反動が「軽微」だったところが多いが、小規模・零細では「40%の反動減」のところもあり、規模によって差が出ている。 ただ、メーカーの値上げで仕入れの上がる流通に下げしろはなく、メーカーの強腰姿勢が、市況を下支えする形となっている。 需要家も先行き動向を見極めにくく、コイルセンター(鋼板加工・販売会社)などには、小刻みな生産計画を出しており「2週間先の計画しか出てこない」とこぼす向きもある。 鉄鉱石の価格が下落し弱材料となるほか、市況の高止まりで韓国や中国から安値輸入材が流入する懸念もあり、先行きの不透明感が増している。 大阪鉄鋼流通協会の調べでは、5月の販売量は前月比4・0%減の13万7127トン。同月末の在庫量は同0・5%増の19万1336トン、在庫率は1・40カ月だった。 文部科学省は、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(指針)」の改正案をまとめた。従来の指針では個々の研究者の自己責任に重点を置いていたが、新指針では大学などの研究機関の責任を明確化する。組織としての対応を強化して研究不正を防ぐ。体制の不備で不正が生じた場合には研究費が削減される可能性もあり、各機関には新指針適用までに体制の整備が求められる。 「STAP細胞」の論文不正問題など相次ぐ研究不正を受け、文科省は2006年に作った指針を見直している。3日から意見を公募し、8月末をめどに最終決定する。周知期間を経て15年4月から適用する。文科省の予算によるすべての研究活動が対象となる。 現行指針の基本的な考えでは、不正への対応は研究者や科学者コミュニティーの自浄作用に委ねていた。新指針ではこれに加え、大学などの研究機関が責任を持って不正行為の防止に関与する必要性を明確にした。 各機関には指導者を含めた研究倫理教育の推進、研究データの保存・開示、不正問題が起きた時の調査規程の整備などが必要になる。インターネットの掲示板など外部から不正が指摘された場合も、各機関はその情報を把握し、調査の必要性を判断する体制が求められる。調査は外部有識者を半数入れた委員会で実施することを定めた。 不正発生後、管理体制に不備があると認められる場合には、文科省が改善策を指導する。改善策が期限内に実施されない場合、研究機関に配分される競争的資金のうち間接経費(研究環境の整備のために必要な経費)を削減する措置を講じる。 【高真空が課題】 研究開発の現場では、目標とする製品の機能や性能の向上のため、元となる材料や試料の詳細な観察・分析が行われており、最近のナノ材料の需要の高まりとともに材料・試料を詳細に観察する技術のいっそうの高度化が求められている。 電子顕微鏡は対象物をナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの分解能で観察できるため、金属材料や有機材料、生物試料の微細構造の観察に大きな威力を発揮する。しかし、電子顕微鏡内部は高真空のため、生物試料や有機材料などの水分を多量に含む試料の直接観察が困難である。また、生物試料は電子線照射によって損傷したり、もともとコントラストが弱く観察が難しいといった問題点があるので、通常は試料に重金属による染色や固定化処理を施して観察されている。 このような問題を解決し、生物試料や有機材料をできるだけそのままの状態で観察する方法がないかと2007年から研究を進めてきた。当初は、生物試料を金属染色しないで高いコントラストで観察する技術の開発を進め、真空中ではあるが非常にクリアな画像を得ることに成功した。この方法では電子線を間接的に照射するため生物試料の損傷も防ぐことができた。 【高耐圧膜で封入】 しかし、真空中での観察のため、応用範囲が限られていた。そこで耐圧性の高い薄膜で試料を封入し、内部を大気圧状態で観察できるホルダーの開発に着手した。この開発に当たり、10年から産業技術総合研究所のベンチャー育成のためのタスクフォース予算を得ることができ、開発が加速された。また、このタスクフォース予算のスタートアップアドバイザーを担ったのは、現ライフセムの高橋通社長であった。 12年に大気圧透過観察ホルダーが完成し、生物試料や軽元素からなるナノ粒子などを大気圧状態で観察できるようになった。このホルダーを使うと、電子線による試料の損傷が少なく、高いコントラストでの観察ができる。私たちはこの12年にライフセムを立ち上げ、13年2月から製品名「TRANSEMホルダー」として販売を始めた。 【生物やナノ材料】 TRANSEMホルダーは、通常の走査電子顕微鏡に特別な改造を加えることなく装着できる。当初は、生物試料の観察を主なターゲットと想定していたが、実際のユーザーの用途では溶液中のナノ粒子やナノ材料の観察が大半を占めている。 ライフセムは、TRANSEMホルダーの販売だけでなく観察も請け負っており、収益力の強化に努めている。現在、さまざまな研究分野や産業分野、医療分野での応用を想定して、水溶液中の生物試料や油液中のナノ材料を高分解能で観察する技術の開発を進めている。 (木曜日に掲載)  ◇産総研バイオメディカル研究部門構造生理研究グループ主任研究員 小椋俊彦 03年に産総研に入所し、10年からバイオメディカル研究部門に所属。「電顕を用いた生物試料の観察技術の開発」を主要テーマとして研究を行ってきた。また、産総研の開発戦略タスクフォースを現ライフセムの高橋社長と担当し、12年にライフセムを立ち上げ、最高技術責任者(CTO)に就任。溶液中試料の高分解能観察を目標に、生物試料やナノ材料・有機材料の解析分野で貢献していきたい。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ