安定した賃料を得られる仕組みにする

西武ホールディングス(HD)が企業価値向上の切り札と考えているのが不動産事業。西武は東京23区内に46万5000平方メートルの土地を所有している。都心に限れば大手不動産をも上回る規模だ。保有する土地は山手線の新駅設置やリニア中央新幹線開業などで注目が高まる品川・高輪地区など、今後の大規模再開発事業に関わる物件が多いのも特徴となっている。 西武が潤沢な保有資産を有効活用するために打ち出す戦略の一つが、ポートフォリオの組み替えだ。旧グランドプリンスホテル赤坂の再開発事業「紀尾井町プロジェクト」は、従来のホテルと住宅に、オフィスと商業施設の機能を加えた複合施設となる。オフィスや賃貸住宅を増やすことで「安定した賃料を得られる仕組みにする」(内野誠第三事業戦略室長)ことを目指す。 紀尾井町プロジェクトの総工費は980億円と、ポテンシャルの高い保有資産に対しては惜しげもなく巨費を投じている。2016年夏の開業を前に、オフィス棟にはすでにヤフーが本社移転を決めており、立地を生かしたテナント誘致が進む。西武は同じく開発計画を進める池袋の旧本社ビルについても、オフィスを含めた複合施設の建設を予定しており、アセットの転換を進める。 こうした戦略は都心部だけでなく、沿線開発でも同様だ。鉄道会社の不動産事業は、沿線人口を増やすため、駅周辺などにマンションや一戸建ての分譲住宅を開発し、売却するのが中心だった。 西武もこれまでは分譲を中心に沿線で住宅を開発してきたが、現在進めている練馬や石神井公園の駅開発事業では、賃貸マンションを建設している。「まずエリアに住んでもらう」(田中雅樹第一事業戦略室長)ことに取り組みながら、安定した賃料収入の確保を目指す。 駅周辺の開発では07年からエキナカの商業施設「エミオ」を12駅で展開。新規施設の開業により賃貸スペースを拡充して、収益力の強化を図っている。 西武は中期経営計画の中で、償却前営業利益(EBITDA)を14年3月期の863億円から16年3月期には895億円に引き上げることを目指している。経営目標の達成に向け、不動産事業でも安定したキャッシュフローを生み出す基盤作りを加速している。 日清オイリオグループは9月から、家庭用食用油で小容量商品のラインアップ(写真)を拡充する。オリーブオイルや健康油で計5品、従来品のリニューアル3品を加えて計8品をそろえる。 単身者など食用油使用量の少ない世帯が増加している状況に対応したもの。食品業界ではキユーピーもマヨネーズやドレッシングで、少人数世帯増加に対応した小容量商品を増やしている。 小容量商品はオリーブオイルとごま油で50グラム瓶(通常品は250グラム)、ヘルシーリセッタなどの健康油で200グラムペットボトル容器(同600グラム)をそれぞれ展開する。 価格はオリーブオイルと、ごま香油が140円前後(消費税抜き)、エキストラバージンオリーブオイルが160円前後(同)、ヘルシーリセッタが300円前後(同)となる。 同社によると小容量食用油の国内市場は2013年度は約15億円と11年度比12%増に拡大している。単身者は使い残りなど食品ロスを気にする傾向が強く、油がおいしい目安とされる1―2カ月で使い切れることをアピールし、スーパーの店頭などで販促する。 【“一本釣り”で】 「合併には何が必要か。何から手をつけるべきか。そこから始まった」。損保ジャパンと日本興亜損害保険の統合推進部長を兼任する戸田光一は2年半前の状況をこう振り返る。 統合推進部は合併発表直後の2012年4月に発足。10人の部隊で合併準備を進める。「こんなチャンスはないと思ったが合併を左右する大きな任務」。戸田に“一本釣り”で声をかけられ、合併準備に携わる課長の小林護も平坦でない道程を思い出す。 「社内用語ひとつでも日本と米国ほど違った」と苦笑いする戸田が強烈に意識したのが「合併後の作業を合併前にできないか」。 日本興亜損保出身の戸田は01年の日本火災海上保険と興亜火災海上保険の合併で苦い経験がある。「1年程度しか準備がなく、両社がばらばらに準備をしていた」。当然、合併後にすりあわせの作業などに追われた。 戸田は今回、両社の統合時期から逆算。二つの会社形態を維持しながらも、役職や業務を合併前に一本化する「実質合併」の作業を進めた。 【良い衝突】 システムや社内用語などは原則、損保ジャパンに片寄せしたが、「単純に統一するだけでなく、言いたいことを言い合った。合併前にグッドクラッシュ(良い衝突)が起きた」。通常は合併後に整える組織体系も役員は13年4月に、14年には課長職まで一本化した。 戸田は計画を前倒しして、さらに踏み込んだ。 統合により、最も影響を受けるのが事務現場。損保ジャパンのシステムや制度を残したため、日本興亜の社員が混乱するのは明らか。戸田は事業所を同居させることで、社員の交流の場づくりを急いだ。損保ジャパン社員が日本興亜社員の疑問に答える「サポーター制度」も導入。「合併前に同じ職場で教え合う仕組みを全国につくった」。 合併直前にはシステムの切り替えという難所が待ちかまえる。だが、戸田は「後は名刺と看板を変えるだけ」と微笑む。 日本興亜の社長で合併新会社のトップに就く二宮雅也は「必要な期間だった」と準備期間をこう表現する。2年半の歳月が両社の融合と社員の自信を深めている。 (敬称略)

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